所得控除
所得控除とは、納税義務者の担税力に応じた税負担を求めるために納税義務者に配偶者や扶養親族があるかどうか、また、そのほか家財が災害にあったとか、家族に大病があったなどの個人的な事情も考慮して、総所得金額などの合計額から一定の金額の控除を行い、担税力の差異による負担の不均衡を調整するものです。
所得控除の種類
控除名 | 内容 |
---|---|
雑損控除 | 災害、盗難、横領により住宅や家財などに災害を受けた場合に控除することができます。 |
医療費控除 | 1年間に支払った医療費が、一定額以上ある場合に控除することができます。 |
社会保険料 | 国民健康保険税、国民年金保険料、介護高齢者医療保険料、後期高齢者医療保険料などを支払った場合に控除することができます。 |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済契約の掛金や心身障害者扶養共済掛金を支払った場合に控除することができます。 |
生命保険料控除 | 生命保険料や個人年金保険料の支払がある場合に控除することができます。 |
地震保険料控除 | 地震保険料(長期損害保険料)などの支払がある場合に控除することができます。 |
障害者控除 | 本人、同一生計配偶者、扶養親族が障害者である場合に控除することができます。 |
ひとり親(寡婦)控除 | ひとり親又は寡婦の場合に控除することができます。 |
勤労学生控除 | 勤労学生に該当する場合に控除することができます。 |
扶養控除 | 前年合計所得が48万円以下である扶養親族がいる場合に控除することができます。 |
配偶者控除 | 控除対象配偶者がいる場合に控除することができます。 |
配偶者特別控除 | 配偶者の前年の合計所得が一定金額範囲内の場合に控除することができます。 |
基礎控除 | 43万円が控除されます。 |
雑損控除
災害、盗難、横領により住宅や家財などに損害を受けた場合に控除できます。申告をする場合は、市役所又は警察署が発行する証明書が必要です。次の計算式のどちらか多いほうの金額を控除することができます。
- A.(損失の金額-保険等により補填された額)-(総所得金額等の10%)
- B.災害関連支出の金額-5万円
医療費控除
納税義務者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費のうち、一定金額を控除することができます。申告をする場合は領収書又は医療費のお知らせが必要です。
(支払った医療費-保険等により補填された額)-{(総所得金額等の5%又は10万円のいずれか低い金額。)}
控除限度額は200万円。
社会保険料控除
納税義務者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族が負担することになっている健康保険料、国民健康保険税、国民年金保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料、任意継続保険料などを支払った場合に控除することができます。申告をする場合は、証明書・領収書等が必要です。
公的年金等で特別徴収されている国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料は支払を受けている本人しか控除できません。
支払った金額の全額=社会保険料控除額
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済制度に基づく掛金又は確定拠出年金法に基づく個人型年金加入者掛金若しくは地方公共団体が行う心身障害者扶養共済掛金を支払った場合に控除することができます。申告する場合には支払額が確認できるものが必要です。
支払った金額の全額=小規模企業共済等掛金控除額
生命保険料控除
一般の生命保険料と個人年金保険料のそれぞれについて、次の式により計算した額を控除することができます。申告をする場合には控除証明書が必要です。
平成24年1月1日以後に新たに契約した生命保険契約等で「一般生命保険料」、「介護医療保険料」、「個人年金保険料」の所得控除が追加適用されました。
これまでの制度(以下「旧契約」という)計算表
平成23年12月31日以前に締結した保険契約(一般生命保険・個人年金)が対象です。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
15,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
15,001円から40,000円 | 支払保険料等×1/2+7,500円 |
40,001円から70,000円 | 支払保険料等×1/4+17,500円 |
70,001円から | 一律35,000円 |
控除限度額は一般の生命保険、個人年金あわせて7万円です。
新たな制度(以下「新契約」という)計算表
平成24年1月1日以後に締結した保険契約(一般の生命保険・個人年金・介護医療)が対象です。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
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12,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
12,001円から32,000円 | 支払保険料等×1/2+6,000円 |
32,001円から56,000円 | 支払保険料等×1/4+14,000円 |
56,001円から |
一律28,000円 |
控除限度額は一般の生命保険、個人年金、介護医療あわせて7万円です。
新契約・旧契約の双方で適応を受ける場合
一般生命保険料控除または個人年金保険料控除の控除額は、それぞれ次の(表3)のとおりになります。
契約の種類 | 一般の生命保険控除額 | 個人年金保険控除額 | 介護医療保険控除額 | 合計適応限度額 |
---|---|---|---|---|
旧契約 | 表1で計算した額 |
表1で計算した額 | - | 70,000 |
新契約 | 表2で計算した額 | 表2で計算した額 | 表2で計算した額 | 70,000 |
旧契約・新契約 |
表1・2で計算した額の合計(上限28,000) |
表1・2で計算した額の合計(上限28,000) | 表2で計算した額 | 70,000 |
地震保険料控除
長期損害保険料と地震保険料のそれぞれについて、次の式により計算した額を控除することができます。申告をする場合には控除証明書が必要です。
一つの契約で長期損害と地震保険の両方がある場合はどちらかの選択になります。
長期損害保険料
保険期間が10年以上のもので、満期返戻金等のあるもの。
支払った保険料 | 控除額 |
---|---|
5,000円以下 | 支払った保険料の全額 |
5,001円から15,000円まで | (支払った保険料×2分の1)+2,500円 |
15,001円以上 | 10,000円 |
地震保険料
長期損害保険料と地震保険料の控除額合計が2万5千円を超える場合は、2万5千円が限度額になります。
支払った保険料 | 控除額 |
---|---|
50,000円以下 | 支払った保険料の全額の2分の1 |
50,001円以上 | 25,000円 |
障害者控除
本人、同一生計配偶者、扶養親族が障害者である場合、控除することができます。
普通障害者の場合 | 1人につき26万円 |
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特別障害者の場合 | 1人につき30万円 |
※同一生計配偶者とは、本人と生計を一にする配偶者で、合計所得が48万円以下である方をいいます。
ひとり親(寡婦)控除
ひとり親又は寡婦の場合は次の金額を控除することができます。
ひとり親控除
現に婚姻をしていない人又は配偶者と死別、生死不明な人で、合計所得金額が48万円以下の生計を一にする子(他の納税義務者の控除対象配偶者又は扶養親族とされている人を除く)を有し、本人の合計所得金額が500万円以下の場合は、30万円を控除することができます。
寡婦控除
ひとり親控除の対象外の人で、以下の条件1又は2を満たす人の場合26万円を控除することができます。
- 夫と離婚した後婚姻していない人のうち扶養親族を有しており前年の合計所得金額が500万円以下の人
- 夫と死別した後婚姻していない人のうち前年の合計所得金額が500万円以下の人
勤労学生控除
納税義務者自身が学生で、合計所得金額が75万円以下であり、給与所得等以外の所得が10万円以下の場合には26万円を控除することができます。申告をする場合には、在学を証明するものが必要です。
扶養控除
前年の合計所得金額が48万円以下である生計を一にする親族を有する場合は、次の金額を控除できます。
平成24年度課税分から年齢16歳未満の扶養親族に対する扶養控除の廃止等が改正されました。
要件 | 控除額 |
---|---|
満16歳未満の年少扶養親族 | 0円 |
一般の場合(16歳から18歳まで、23歳から69歳まで) | 330,000円 |
特定扶養(19歳から22歳まで) | 450,000円 |
老人の場合(70歳以上) | 380,000円 |
老人のうち同居している父母等の場合(同居老親等) | 450,000円 |
一般の扶養で同居特別障害者の場合 | 560,000円 |
特定扶養で同居特別障害者の場合 | 680,000円 |
老人扶養で同居特別障害者の場合 | 610,000円 |
同居老親等で特別障害者の場合 | 680,000円 |
配偶者控除
前年の合計所得金額が48万円以下である生計を一にする配偶者(他の納税義務者の扶養となっている人、青色事業専従者に該当する人で青色事業専従者給与の支払を受けている人及び事業専従者に該当する人を除く)を有する場合には次の金額を控除できます。
平成31年度以降
納税義務者の合計所得 | 控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者 |
---|---|---|
9,000,000円以下 | 330,000円 | 380,000円 |
9,000,000円超9,500,000円以下 | 220,000円 | 260,000円 |
9,500,000円超10,000,000円以下 | 110,000円 | 130,000円 |
10,000,000円超 | 0円 | 0円 |
配偶者特別控除
生計を一にする配偶者(他の納税義務者の扶養とされる人、青色事業専従者に該当する人で青色事業専従者給与の支払を受けている人及び事業専従者に該当する人を除く。)を有し、配偶者の合計所得が次に掲げる金額の人は控除を受けることができます。ただし、本人の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合は控除できません。
令和3年度以降
配偶者の合計所得金額 | 納税義務者の合計所得金額 | ||
---|---|---|---|
900万円以下 | 900万円超 | 950万円超 | |
480,000円超1,000,000円以下 | 330,000円 | 220,000円 | 110,000円 |
1,000,000円超1,050,000円以下 | 310,000円 | 210,000円 | 110,000円 |
1,050,000円超1,100,000円以下 | 260,000円 | 180,000円 | 90,000円 |
1,100,000円超1,150,000円以下 | 210,000円 | 140,000円 | 70,000円 |
1,150,000円超1,200,000円以下 | 160,000円 | 110,000円 | 60,000円 |
1,200,000円超1,250,000円以下 | 110,000円 | 80,000円 | 40,000円 |
1,250,000円超1,300,000円以下 | 60,000円 | 40,000円 | 20,000円 |
1,300,000円超1,330,000円以下 | 30,000円 | 20,000円 | 10,000円 |
1,330,000円超 | 0円 | 0円 | 0円 |
基礎控除
前年の合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2400万円以下 | 43万円 |
2400万円超え2450万円以下 | 29万円 |
2450万円超え2500万円以下 | 15万円 |
2500万円超え | 適用なし |