個人住民税における公的年金からの特別徴収制度の見直し
年金から天引きする市県民税について、仮徴収税額(4、6、8月)と本徴収税額(10、12月、翌年2月)の差額が大きかったものを、この度の税制改正により計算方法を見直すことで仮徴収税額と本徴収税額の均衡を図る措置が取られました。
1 仮特別徴収税額の算定方法の見直し(仮特別徴収税額の平準化)
平成25年度税制改正で、年間の徴収税額の平準化を図るため、仮徴収税額を「前年度分の公的年金等に係る所得割額と均等割額の合算額(年税額)の2分の1に相当する額とする」ことになりました。
適用時期:平成28年10月1日以後に実施する特別徴収から適用
この改正は、仮徴収額の算定方法の見直しを行うものであり、税負担となる年税額の増減を生じさせるものではありません。
公的年金からの特別徴収税額の計算方法(年金特徴継続)
徴収月 | 現行 (平成28年8月まで) | 改正後 (平成28年10月から) |
---|---|---|
仮徴収 (4月、6月、8月) | 前年度分の本徴収額÷3 (前年度2月分と同じ額) | (前年度分の年税額÷2)÷3 |
本徴収 (10月、12月、翌2月) | (年税額-仮徴収額)÷3 | (年税額-仮徴収額)÷3 |
例)65歳以上の夫婦世帯
(夫の個人住民税 年税額6万円 所得割5万5千円 均等割5千円、妻非課税)
年度 | 年税額 | 現行 | 改正後 | ||
---|---|---|---|---|---|
仮徴収税額 (4・6・8月毎) | 本徴収税額 (10・12・翌年2月毎) | 仮徴収税額 (4・6・8月毎) | 本徴収税額 (10・12・翌年2月毎) | ||
29 | 60,000円 | 30,000円 | 30,000円 | 30,000円 (10,000円) | 30,000円 |
30 | 36,000円 (医療費控除等により減少) | 30,000円 | 6,000円 | 30,000円 (10,000円) | 6,000円 |
31 | 60,000円 | 6,000円 | 54,000円 | 18,000円 | 42,000円 (14,000円) |
32 | 60,000円 | 54,000円 | 6,000円 | 30,000円 (10,000円) | 30,000円 |
2 他市町村へ転出または税額変更があった場合の公的年金からの特別徴収の継続
現行制度では、公的年金からの特別徴収対象者が賦課期日後に他市町村に転出した場合や、公的年金等の所得にかかる税額に変更があった場合は、特別徴収を停止し、普通徴収へ切り替えていましたが、改正後は、一定の要件の下、公的年金からの特別徴収が継続します。
見直された経緯
現行制度では前年度2月と同じ額が仮徴収税額になるため、一度生じた不均衡が平準化しませんでした。
しかし、改正後では、年税額が2年連続で同額の場合は、平準化します。このたび改正に至った背景には、年金支払金額や所得控除の適用状況の変化に伴い(特に医療費控除額の変化=税額の影響が大)、年税額が前年度の額よりも大きく変動した場合には、本徴収額(10月・12月・翌年2月)と仮徴収額(4月・6月・8月)に差が大きく生じることがあったためです。
いったん、本徴収額と仮徴収額に差が出た場合、翌年度の仮徴収額は前年度の本徴収額とされていることから、翌年度以降も不均衡を平準化することができず、本徴収税額と仮徴収税額の格差が続きます。特に不均衡が極端な場合には、仮徴収額が年税額を超えてしまい、仮徴収した後に還付が生じていました。
以上から年金所得者の納税の便宜や、市町村における徴収事務の効率化の観点から、仮特別徴収税額の算出方法の見直し(仮徴収税額の平準化)がされました。