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釜屋建民家

ページID:513845049

更新日:2020年1月8日

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釜屋建民家

釜屋建民家画像

種別:市指定文化財(建造物)

員数:1棟

指定年月日:昭和60年5月31日

所在地:新城市庭野字岩本 地内

説明:本民家は西側の主屋部分を中宇利地区から、東側の釜屋部分を庭野地区から移築して復原した建物である。この主屋は天井に「天保」の墨書きが発見されたことから、19世紀前半に造られたと考えられている。

建物構造は木造茅葺き平屋建てで完全分離型の二棟(ふたむね)から成り、静岡県・天竜川から豊川流域を中心に多く見られた代表的な農家住宅の建築様式とされる。屋根の棟の方向が「T」の字に交わるところに、特徴がある。規模は主屋が桁行4間、梁間3間半で、釜屋が桁行3間半、梁間2間半で釜屋側に出入口が設けられ、建築面積はおよそ94平方メートルを測る。

主屋は「田の字型」の間取りで、「おおえ」は客間、「おでえ」は上客の間、「おへや」は寝室、「おかって」には板敷で囲炉裏がある食事場として生活の場に使用される。

釜屋は台所やにわ(土間の作業場)をはじめ、風呂、馬屋など食や生産に結びついた場となっている。

見学や利用について

釜屋建民家はご自由に見学や利用ができます。

東側120m離れた新城青年の家へお申し出ください。

釜屋建民家の修理日記

この修理日記は、平成25年度に実施した修理工事の記録です。

2月14日(金曜日)

久しぶりの更新です。

前回以降の12月と1月は付帯工事を行っていました。

この期間で、軒下周りの三和土(タタキ)、建物壁、板戸、暗渠排水施設などの補修を実施しました。

屋外の土間修理

 屋外の三和土補修の様子


土間同様に軒下にも三和土を巡らしています。

土壁補修

 土壁補修後の様子


土壁は、土・砂・ワラ・石膏を混合したもので補修しました。

土壁修繕前

 土壁補修前の様子


建物は一段低くなった場所に建てられており、その水処理のため排水施設が必要となります。

今回、既設の排水溝に砂利と塩ビ管を敷くことで排水能力を高める改修を行いました。

同時に、黒田地区にある国重要文化財の望月家住宅(こちらも釜屋建)と同様に玉石を敷くことを行いました。

排水施設

 建物周囲の暗渠施設補修の様子


このほかにも板壁や畳替えなど細かな補修も済ませています。

畳の取替

 家具等の搬入の様子


先週、ほとんどの修理業務を終えることができました。

清掃後、最初に搬出した展示品の民具等を再び戻すことを行いました。

あとは検査を残すのみです。

一般公開が再開できるまで、もうしばらくお待ちください。

11月26日(火曜日)

三和土の様子の画像

 三和土の様子


内部の三和土の施工後です。ややコンクリートのような色合いに見えます。

石灰等の調合の具合だそうです。今は、養生中です。

遠景

 全体の様子


釜屋側の棟ものり、足場が撤去されました。

桜淵公園で散歩がてら、見ていただけると嬉しいです。

修理前の主屋

 修理前の様子


何度も使う画像ですが、同じ建物だとは思えません。

近景

 茅葺屋根の近景


主屋の茅葺の近景です。

ほとんど出来上がりに見えます。

差し茅

 差し茅の様子


しかし、職人さんは納得がいっておらず、隙間をきれいに詰めていきます。

さすがです。

板壁修理

 板壁の補修


建物外壁である板壁の修理も始まりました。

木枠は再利用しながら、板材のみ交換していきます。

躯体はできる限り現状の材を残し、後世に伝えていこうと思っています。

11月18日(月曜日)

主屋頂部の棟木が載せられました。鉄板を被せ、杉皮を敷き、千木を設置しました。

屋根資材は、すべて新調しました。

早く足場が取れて、きれいになった屋根のライン、黄金色に光る屋根を眺めてみたいです。

屋根の様子の画像

 屋根の様子


遠景

 建物の遠景


また、土間の修理も始まりました。

古くなった土間は、すべて剥がしてきれいにします。

三和土(たたき)は、3層構造で砕石・土・水を混ぜた下層、塩化カルシウム・消石灰・砂・粗目土の中層、塩化カルシウム・消石灰・細目土の調合による上層から成り、15cmの厚さになります。

これが、今回の修理仕様となっています。

なお、建物外周の土間の三和土は薄く、3から4cmしかありませんでした。

三和土の剥離作業

 三和土の剥離作業の様子


内部の三和土下層の様子

 建物内部の三和土下層(砂利敷き)の様子


三和土は、風化した花こう岩の土(真砂土・サバ土)、石灰、苦汁(にがり)の3種類を混ぜて、土を叩き締めて床を作ることに由来します。

土で出来た床のことを土間(どま)と呼びます。現在の家づくりでは、コンクリートが用いられています。

ここでは、現代の三和土の技法で修理を行っています。天然の苦汁(塩化マグネシウム)を使わないで、人工の苦汁成分となる塩化カルシウムを使用しました。国指定文化財の「望月家住宅」では、従来の苦汁を混ぜた三和土で作られていますので、見比べてみるとおもしろいかもしれません。

11月11日(月曜日)

久しぶりの更新になりました。

この9日(土曜日)、「茅切」体験と題して、2回目の体験教室を開催しました。

怪我もなく、無事に終えることができました。ありがとうございました。

茅切体験の様子の画像

 茅切体験の様子


茅は引くようにしながら、切るそうです。このようにしないと、切るために挟んだ茅をハサミが巻き込んでしまい、うまく切れません。

刃先が反った特注の剪定バサミを数種類使い、刈込んでいきます。

慣れないうちは、カットした部分が「波を打つ」、「虎刈り」みたいに凸凹してしまうそうです。

作業した翌日に見ると、良くこの様子が観察できるそうです。

ちなみに、葺いた茅の厚みは40から50cmほどあります。

なお、切りすぎてしまっても、茅を継ぎ足す、新たに差し込んでやることで修正できるみたいでした。

「百聞は一見にしかず」で職人さんの経験を踏まえた説明と実際の体験は、頭では理解できても体が思うように動いてくれませんでしたが、とてもおもしろかったです。

職人さんの説明を自分も聞き入ってしまい、記録写真を取り損ねてしまいました。

どうも、すみませんでした。

当日は、地元ケーブルテレビ局「ティーズ」の取材もありました。

この時の様子を12日に放映され、再放送が週末の16日、17日にあるそうです。

取材の様子

 説明を受ける参加者と取材の様子


茅叩きの様子の画像

 茅叩きの様子


道具も重く、すぐに腕がパンパンになってしまうという感想がありました。

積み上げて葺いた茅を突き上げて、押し込むような作業になります。

固く叩き締めるように思われますが、実際はすごく緩い状態です。

少し摘まんでみると左右にグラグラ、動きます。

空気も通りやすくしないと茅が乾かず、腐りやすくなってしまうとのことでした。

降雪地では、ギュウギュウに固く詰めるようですが・・・。

10月30日(水曜日)

心配された台風の影響はなく、屋根を覆う部分の足場が外されました。

主屋側の屋根頂部の茅葺きに取り掛かることができるようになりました。

遠景

 屋根を覆う足場が取れた様子


茅葺きの様子

 屋根頂部の茅葺き作業の様子


今後、屋根頂部には新調された棟が乗る予定になっています。

10月18日(金曜日)

釜屋西側の屋根の様子の画像

 釜屋西側屋根の様子


この2週間で、釜屋屋根の茅葺きは順調に進められてきました。

残すは、棟付近のみです。

今後、足場の一部を解体して、棟を乗せ、茅を葺いていく

作業に移っていきます。

いよいよ、茅葺き作業も終盤に差し掛かってきました。

修理前の主屋

 修理前の主屋屋根


10月10日(木曜日)

今回は、茅葺き作業の一部を紹介します。

ここでは屋根の形状を整えるため、短く切断しておいた茅を用いて屋根を葺いていきます。

茅を短くするには、今回、作業台のうえで刻みました。

茅の切断の様子

 茅を短く切断する様子


刻んだ茅を葺きやすいように事前に屋根に配置しておきます。

短い茅

 短くした茅を屋根に準備した様子


準備ができたら、一気に茅を整えながら並べていきます。

茅葺きの様子

 茅葺き作業の様子


葺き終えたら、竹で押さえて固定します。

なお、太い丸太は、次の上の段を葺くための足場となります。

茅の様子

 葺いた茅を竹(細い方)で押さえた状態


屋根のきれいな形を作り出しながら、茅を葺いていくことを知りました。

屋根に葺いた茅を美容師さんのようにカットすることで、屋根の形状を作り出すのかと想像していましたので、勉強になりました。

10月2日(水曜日)

釜屋の屋根下地材は、痛みが激しかったようです。

下地材の補修に一週間ほどかかりました。ほぼ4周全面にわたる竹材の取替となりました。

屋根下地処理

 下地補修の様子


主屋側は囲炉裏で薪を燃やし、釜屋側はカマドを使用していませんでした。

日常管理において、建物内部が燻(いぶ)されていなかったことが原因であったのかもしれません。

屋根茅は主屋が痛みが激しく穴も開いた状態であったのですが、屋根材とその下地材の痛みは真逆となるような結果でした。

茅葺きの様子

 釜屋北面屋根の葺き始めの様子


葺き始めの茅は長いものを使用し、屋根頂部に近づくにつれて、茅を短く切断したものを用いています。

上画像は、茅を固定する竹に針金で留めている作業の様子です。

9月25日(水曜日)

主屋の茅葺きもおよそ半分を終えました。

茅葺きは、屋根の1面ずつを葺いていく訳ではなく、全方位を均等に葺いていきます。

茅葺きの状況

 茅葺きの現況(西・南面)


残すブルーシートは屋根頂部の1枚となりました。

茅と葦

 左側が葦:右側が山茅(西・北面)


上画像の丸太端部付近の左右で茅材が異なっています。

北西方向から撮影した一枚で、画面左が葦材、右側が山茅です。

修繕前の北側屋根には苔が多く生え、湿気でジメジメした状態でしたので、試験的に北側屋根を葦で葺いています。

葦は内側がストロー状に空洞であることから、水はけが良いことを期待しての施工です。

9月18日(水曜日)

台風18号による影響は見受けられず、資材も散在することなくやり過ごすことができました。

ただ、次の荒天に備えて、屋根に掛けたシートはすべて外すことなく、必要な個所だけを剥がして作業を進めることになりました。

昔なら、近隣住民などが協力して一軒の屋根の葺き替えを1日程度で行ったとも言われています。

今回は、2人がかりで約4か月も葺き替えに要します。

外観

 釜屋の遠景


屋根に被せる茅は、穂先を上にします。

茅は骨組みに縛り付け、竹で押さえつけて固定します。

そして、専用の工具で、下から突き上げるようして叩いて、茅を詰め、屋根の形状を整えていきます。

茅を叩く様子

 主屋西側屋根に茅を叩き入れる様子


9月17日(火曜日)

先日の14日(土曜日)に行った体験教室では、17名の参加者がありました。

体験教室の様子

 職人さんからの説明を受ける参加者


茅葺き職人さんから、「古民家建築における先人達の工夫、茅の葺く向きや茅材の特徴」などの説明を受け、屋根の骨組みを固定する「縄の縛り方」の実演、屋根の葺き方などを教わりました。

職人さんへの質問も相次ぎ、縄の縛り方をマスターしようとする熱心な参加者の皆様のおかげで、2時間があっという間に過ぎてしまいました。

縄縛りの実演の画像

 縄縛りの実演


屋根の葺き方の説明を受ける

 屋根の茅葺き実演


暑い日でしたが、無事に終えることができました。ありがとうございました。

9月9日(月曜日)

一週間のうちに、屋根の茅が驚くほど葺き進められていました。

足場に茅がゴミとなって散乱しています。

その分、屋根の出来上がりが日々、楽しみです。

下の画像中、屋根下の丸太は足場に、板材は葺いた茅の裾を揃えるための道具です。

母屋の茅葺き状況

 主屋南面の茅葺き状況


母屋北面の茅葺き

 主屋北面の茅葺き状況


屋根材となる茅は、御殿場産です。

茅材の画像

 茅材


今週末の14日にこの茅葺きの体験教室があります。

午前10時から正午までの2時間程度です。

ちょっと興味がある方、大歓迎です。

先日、この募集案内が新聞に掲載され、市外から参加の申し込みが多くありました。

ありがとうございました。

まだ、若干の余裕がありますので、興味のある方は文化課(0536-23-7655)までご連絡ください。お待ちしております。

同時に、切り捨てて処分してしまう茅などが欲しい方も見えましたら、ご一報ください。

軽トラック等でお越しくだされば、無償でお分けします。

9月2日(月曜日)

主屋の下地処理が終わりました。

使える材料はそのまま再利用しながら、腐った材は取り替え、強度が不安な部分には添え木をしました。

添え木は隠すように設置し、軒先部分を中心に補強しています。

屋根を葺いた茅は年月とともに下に下がり、軒先にはかなりの重量がかかるようになります。

重くなった軒先はアーチ状に弛み易くなるため、軒先を真っ直ぐ美しい状態で保つような工夫です。

建物の角から茅を葺き始めました。

これから、どんな美しい姿になるのか、楽しみです。

補強の様子の画像


補強の様子(竹の垂木の上に添え木がされる:画面中央)

(添え木の先が削られ細くなっているのは、茅を葺きやすくする工夫)

(軒先が弛み難いよう、縄ロープなどで引っ張り上げながら固定する工夫)

茅葺き

 建物角から茅が葺かれ始めました。


8月29日(木曜日)

痛んだ壁を修理するため、小さな庇の瓦が取り除かれました。

板材、杉皮、泥の順に瓦が葺かれていました。昔ながらの技法です。

また、囲炉裏の真上の屋根が煤けていました。

煤のタールが縄の縛り目を硬くし、また、縄を燃えにくくする働きがあるようです。

タールが良く付着した縄は、ノコギリでも切れなくなる時もあるそうです。

杉皮の下地

 屋根下地の杉皮の状況


取り除かれた泥

 屋根瓦を固定した泥


煤けた縄の画像

 煤けた縄


8月27日(火曜日)

主屋の茅の撤去が終わり、屋根がまる裸の状態となりました。

今週末には、釜屋側の屋根でも茅が全部取り除かれるそうです。

茅葺き体験や田畑の肥料となる茅の希望者がほとんどいません。

どちらも無償ですので、お知り合いやご近所の方への口コミをお願いします。

茅の除去の様子

 隠れていた屋根材が見えるようになりました。


8月23日(金曜日)

茅の除去が始まりました。

茅を止めていた針金を切断しながらの作業です。針金はさびて、茅と同系色になっていました。

茅はボロボロですが、下地の竹材は予想以上に良好な状態です。

すべて手作業で地道に進められていきます。

また、屋根から降ろした茅は処分しますが、「欲しい!」という方が見えましたら文化課(0536-23-7655)までご連絡ください。


作業場の遠景

針金切断の様子
針金を切断する様子


茅下し
茅の除去作業の様子

いらない茅
処分する茅


8月20日(火曜日)

茅替えの資材が大量に運び込まれました。太くて長く、とても丈夫そうです。

いよいよこれから、本格的な屋根の修理が始まります。

また、来月14日には、茅葺体験と見学会を併せた教室があります。

興味のある方は、ぜひ文化課までお問い合わせください。(0536-23-7655)

茅資材
4m近い資材

足場の様子
建物の周りに組まれた足場


8月5日(月曜日)

内部の引っ越しも終わり、建物の周囲には工事用フェンスと足場が組まれ始めました。

フェンスと足場

 建物周囲のフェンスと足場


8月2日(金曜日)

いよいよ、市指定文化財(建造物)の釜屋建民家の修理工事が始まりました。

本日は、建物内に展示・収蔵していた物品の搬出作業を実施しました。

内部の様子

 建物内部の様子

お問い合わせ

新城市 教育部 生涯共育課 設楽原歴史資料館

電話番号:0536-22-0673

ファクス:0536-22-0673

〒441-1305 愛知県新城市竹広字信玄原552番地

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