新城市では、これまで児童・生徒の心身の健全な発達のため、安全・安心な学校給食を全18校(小学校13校・中学校5校(作手中は作手小で調理したものを運搬))で調理・提供してきました。
しかし、施設の老朽化、衛生管理基準への対応、調理員不足など様々な課題が重なり、今後も安定的に継続して学校給食を提供することが困難な状況になってきました。そのため、次頁のとおり共同調理場での調理に移行することとしました。
慣れ親しんだ各学校の調理から大きな方針転換となりますが、今後も学校給食を継続していくため、本市の目指す学校給食の姿を「新城市学校給食基本方針」として策定しました。これまで調理員始め多くの関係者で培ってきた自校給食の良さや食育の考え方を継承し、共同調理場ならではのメリットを生かして学校給食を提供してまいります。今後ともご理解とご協力をお願いします。
学校給食提供に係る課題
現在、本市の学校給食は、作手地区の学校の親子方式を除き、全18学校で自校調理を実施しています。しかし次の
5つの課題を抱えながら給食提供を行っており、今後も安定的に学校給食の提供を続けることが困難になっています。
親子方式:作手小(親)で調理を行い、作手中(子)へ運搬する方式
老朽化した施設への対応
建設後50年以上経過した給食室が3校、40年以上が6校、30年以上が6校と、多くの学校において経年による老朽化が進んでいます。
学校名 | 建設年 | 経年 | 学校名 | 建設年 | 経年 |
---|---|---|---|---|---|
新城小 | S45年 | 52年 | 黄柳川小 | H24年 | 10年 |
千郷小 | H2年 | 32年 | 東陽小 | S51年 | 46年 |
東郷西小 | S63年 | 34年 | 鳳来東小 | S52年 | 45年 |
東郷東小 | S49年 | 48年 | 作手小 | H29年 | 5年 |
舟着小 | S56年 | 41年 | 新城中 | S39年 | 58年 |
八名小 | H9年 | 25年 | 千郷中 | S58年 | 39年 |
庭野小 | S62年 | 35年 | 東郷中 | S55年 | 42年 |
鳳来中部小 | S60年 | 37年 | 八名中 | S62年 | 35年 |
鳳来寺小 | S54年 | 43年 | 鳳来中 | S44年 | 53年 |
衛生管理基準への対応
学校給食施設は「学校給食衛生管理基準」や「大量調理施設衛生管理マニュアル」などに基づきドライシステムを導入し調理を行う必要がありますが、現状の施設ではこれに対応していません。そこで、できるだけ基準に沿うようドライ運用(できるだけ床に水を落とさない運用)を心掛けていますが、衛生面などで優れるドライシステム化された調理場の整備が必要です。
増加するアレルギー食への対応
各学校では、アレルギー原因食物である卵・乳の除去を行うアレルギー対応食を提供しています。アレルギー対応食の調理は、アレルギー原因食物の混入を防ぐため専用の調理室を設けることが望ましいとされています。現在の調理室ではそのスペースが無いため、調理員が細心の注意を払って対応する必要があり、調理員の負担が大きくなっています。
学校名 | 卵除去対応 | 乳除去対応 | 卵・乳除去対応 | 合計 |
---|---|---|---|---|
小学校 | 27 | 15 | 10 | 52 |
中学校 | 4 | 4 | 1 | 9 |
合計 | 31 | 19 | 11 | 61 |
慢性的な調理員不足への対応
各校の調理員については、必要な人数を安定的に確保できず、随時募集を実施してきましたが、改善できていないのが現状です。そのため、各校の調理員が病気や都合により勤務できない時には、他校から不足する学校へ応援調理員を派遣し、何とか給食が提供できなくなることを避けているのが現状です。
給食食材の配送の継続
市内業者を始め、様々な納入業者に食材を全小中学校に配送していただいております。ただ、市域が大変に広いため、食材の量や学校までの距離など配送に係るコストや時間的な制約などで、納入業者の負担が過大となっています。
共同調理場移行までの検討経過
これらの課題を整理し、今後も学校給食を継続するためには、どのような方法で対応できるのか、次のとおり検討を重ねてきました。
時期 | 検討経過 | 概要 |
---|---|---|
平成27年3月 | 新城市の学校給食のあり方検討会(4回開催) | 自校調理方式、親子方式、給食センター方式の3方式のメリットやデメリットを財政面・工程面・衛生面といった様々な観点で整理・検証。 |
平成30年6月 | 定例教育委員会 | 学校給食に係る多くの課題に対応するため、ある程度の給食施設の集約を提案。 (結論)中学校単位での「親子方式」とする。 |
平成30年10月 | 校長会からの要望 | 給食を継続実施するため、センター方式転換への要望書が提出される。 (内容)早期に新城・鳳来両地区の2か所に共同調理場を建設し、給食提供を維持することの要望。 |
平成30年11月 | 定例教育委員会 | 校長会要望を踏まえ、学校給食に係る多くの課題や法律等への対応のため、現状で考えられる現実的な方式として、「親子方式」から「複数の中学校区」を単位とした共同調理場方式への修正案を事務局から説明。 (結論)継続審議 |
平成30年11月 | 定例教育委員会(再説明) | 「親子方式」から「複数の中学校区」を単位とした共同調理場方式への修正案を協議するも、統一見解はならず、継続審議。 |
平成30年11月 | 総合教育会議 | 市長と教育委員で意見交換し、市長が「教育委員会の独立性、自主性を尊重し、早急に意思統一と意見集約をお願いしたい」と要望。 |
平成30年12月 | 定例教育委員会 | 複数の中学校区を単位とした共同調理場方式(市内2か所)への方針転換について協議。 (結論)校長会要望や事務局案に沿った方針に対し、教育委員全員が賛同。 |
平成31年3月 | 新城市学校給食施設 整備方針策定 |
当初作手地区で先行実施している親子方式を中心に、各地区で親子方式の整備を検討したが、新城(八名中敷地内)・鳳来地区(鳳来中敷地内)に共同調理場を2か所建設(親)し、2校に隣接する中学校(子)に配送する施設整備案をまとめた。 ・親)作手小:子)作手中 ・親)八名中:子)新城中学校区・千郷中学校区・八名小 ・親)鳳来中:子)東郷中学校区・鳳来中学校区 |
令和2年1月 | 定例教育委員会 | 2か所案について、基本計画策定過程で判明した課題等を解消するためには、2か所の共同調理場建設案から1か所に集約する方法しかなく、1か所案を事務局から説明。 (結論)事務局案に対し承認をいただく。 |
令和2年5月 | 共同調理場整備基本計画・基本設計策定 | 周辺の環境や交通などへの影響が少なく、各学校への配送計画を検討した結果、市の中央部に位置する川路萩平地区に共同調理場を整備する案を策定。 |
令和3年5月 | 共同調理場実施設計策定 | 川路萩平地区への共同調理場建設に向け、詳細部分の設計を実施。 |
共同調理場で変わらないこと・変わること
変わらないこと
地産地消の継続
これまで同様に、地元食材を積極的に使った学校給食を提供します。
温かい給食の提供
保温性の高い食缶に、できたての温かい給食を詰め各学校へ届けます。
変わること
安定的な給食の提供
これまで懸念されてきた食材納入や調理員の配置が確実にでき、給食を安心して継続提供できるようになります。
新たな調理機器の導入
これまで市外から配達していたご飯を、共同調理場内の設備にて炊飯します。これによりこれまで提供できていない混ぜご飯などが提供可能となります。また大型のスチーム調理機器で焼き料理も可能になるなど、献立メニューの種類が増えます。
アレルギー調理室の整備
これまでと異なり、調理工程を完全に独立させ、アレルギー調理室でアレルギー原因食物の混入を防ぎながらアレルギー対応食の調理を行うため安全性が向上します。
調理業務等の業務委託
一度に大量の給食を調理し、日々安全・確実に各学校へ配送するには、経験豊富な専門会社の力が必要です。調理~配送~学校での受け取り~食器回収・洗浄・消毒の一連の業務を、安全かつ効率的に実施できる業者に委託します。
共同調理場施設概要と施設整備スケジュール
建設場所
新城市川路字萩平地内
構造
鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造)地上3階地下1階
各階構造
- 地下1階)荷受け・検収室、事務室
- 地上1階)会議・研修室、食育展示スペース
- 地上2階)調理スペース、給食搬出スペース
- 地上3階)食育用見学通路
事業スケジュール
共同調理場への移行については、様々な調整が必要です。今後は本体工事のほか、受入施設工事を進めます。また、共同調理場稼働後には、調理・配送・各学校での給食受取の一連の業務を全て専門業者に委託します。このため、令和4年度に委託業者の選定を行います。