絹本著色三千仏名宝塔図(けんぽんちゃくしょくさんぜんぶつみょうほうとうず)

現在、保存修理を実施中です。

本絵画は国・愛知県・新城市等の支援を受けて、令和元年度から2か年の予定で保存修理を実施しています。

修理前の主な損傷の状況は、横折れ、絹の欠失と本紙裏側からの彩色の露出、カビの発生などが認められていました。

修理に伴い表具装から解体したところ、下軸に「慶安4年(1651)」と「享保18年(1733)」の過去の修理歴を示す墨書が確認され、大きな発見がありました。修理視察の様子

また、修理の各工程で事前調査を実施し、今回、過去の修理において肌裏紙を再利用していたと考えられる痕跡も確認されました。今後も修理作業を進めていく中で、さらに新たな知見が得られることが大いに期待されます。

令和元年12月現在、肌裏紙の除去作業の着手にし始めたところです。

右の写真は、所有者並びにその関係者が修理現場に伺い、修理責任者さんから現状報告を受けているときの様子です。絵画の裏面の状況を実際に目にし、修理内容等の説明を受け、これまで多くの方の手によって守り、伝えられてきた文化財の歴史の一端を知る貴重な日となりました。

 

種別三千仏名宝塔図

国指定重要文化財(絵画)

指定年月日

平成6年6月28日

所有者

宗教法人

時代

鎌倉時代

説明

この三千仏塔図は、いわゆる「三劫三千仏名経」の説くところに従い、向かって右側の宝光部分に一千の過去仏名が書かれ、中央宝塔部分は一千の現在仏名が書かれています。さらに、左側の宝光部分は一千の未来仏名が書かれています。

緻密に仏名を書き連ねた文字で三重の塔とその放射光を表わし、塔の基壇の周囲を大勢の人物が取り巻いて塔を仰ぎ見る形で菩薩・天部・兜卒・人物等が円陣を作っている。宝塔の功力に感動した諸形人物の劇的な情景が見事に表現され、その個々の表現をみると、鎌倉時代の絵巻物を見るように、それぞれが異なった表情を示し、写実性を基本におきながらある部分では大胆な誇張が見られ、不思議な魅力を漂わせている。

驚くほどの緻密な計算に裏づけられた完璧な字配りと構成がなければ、これほどの文字絵は描くことができるはずはないとも評価されています。

この絵画は、かつて足利尊氏の従弟である真応上人が尊氏の戦勝祈願をしたところ、その感謝の念を表わすために、上人が住職をしていた寺に足利尊氏が寄進したものであると考えられています。

その他

形状:掛軸装、法量:128センチメートル×65.8センチメートル

新城図書館(ふるさと情報館)2階の郷土資料室でレプリカを展示しています。

 【参考文献】

新城文化財案内  平成9年  新城市教育委員会