昨日(2月6日)設楽町において、設楽ダムにかんする補償基準妥結と建設同意に関する調印式が行われた。

  

 昼のニュースで速報され、その後全国メディアもいっせいに取り上げたので、概要はご存知のとおり。

 

 私も下流域市町の一員として、列席させていただいた。

 

 レクイエム=鎮魂歌。

 

 調印式から受けた印象を一言でいえば、この言葉が浮かぶ。

 

 ダム対策協議会の会長は、昨日においても最後まで「設楽ダムとの戦い」と表現された。妥結にいたり、生活再建を求める段階に移るにおいても、なおこの36年間は「戦い」としか言い表せない。

 

 それが個人の心情か、といえばそうではない。

 

 会長はあいさつのなかでいみじくも、語られた。

 

 「今日の結末を見ることなく先立った仲間が大勢いる。自分の妻もその一人だ・・・」

 

 先立った戦友たちは、今日のこの結末をどう見ているか?それが対策協はじめ、36年間をダム問題で明け暮れてきた方々の脳裏を離れることはない。

 

 だから今もなお「設楽ダムとの戦い」なのだ・・・・私はそんな風に聞かせていただいた。

 

 水没者の皆さんは、これから「生活再建」に入っていくわけだが、そこにもさまざまな葛藤が待ち受けている。

 

 だからこそ、渦中にいる方々は、ともに戦い、先立った伴侶や友を心のなかに置き続けて、後の人生を引き受ける、新たな「戦い」に出発するしかないのだ。

 

 そして調印式で、設楽町長は、「重い決断ではあるが、ダム問題を解決し、乗り越えない限り設楽町の明日はないと判断し、満を持して決断にいたった」と、宣言された。

 

 そう、これからも設楽町に暮らし続ける人々、これから設楽町で産まれる未来の人々のためには、どこかで結論をつけなければならない、それが今だ、と。

 

 36年の時間をダムサイトに埋め込む覚悟にあふれた意思表明だった。

 

 最終決定者としての重責を果たされた、その労に心から敬意を表したい。

 

 過去と未来の両面から、両方の意味で、レクイエムの調印式だった・・・・。