オバマ就任演説に思う
アメリカ大統領は大変だ。スーパーヒーローであることを求められ、かつそれにふさわしい強大なグローバルパワーが与えられる。
就任演説は、それをどう行使しようとしているのかを示すものだが、あらためて思うのは、アメリカの「建国神話」が後の世代を縛る強烈な磁力のことだ。
オバマ大統領も建国以来の旅物語を基底に、われわれもひるまず進もう、とのメッセージを発した。
多分これ以外の語り方では、現在の危機に立ち向かう国民的気概を奮い立たせることはできないのだろうし、何百万人の聴衆の期待も満たされない。
アメリカン・スピリットのもっとも躍動する場面だが、同時に「あるべきアメリカ像」に支配される精神的不自由を感じるところでもある。
この点、と言おうか、日本の政治言語はもっといい加減で、あるときは「八百万の神」から説き起こしたり、あるときは戦後復興の物語を基点においたり、またあるときは明治維新の志士や戦国武将になぞらえたりして歴史を行き来し、過去と現実をシンクロさせる。
それもまるで別の解釈や正反対の政治目的をもって、勝手に使う。
歴史が何層にも堆積した社会と、一つの層がいまも隆起中の社会との違いともいえる。
アメリカの力は強大だが、外部脅威に対する反応は一つのスタイルで貫かれる。
オバマの語った政策は、アメリカ史の転換をはらんでいるけれど、志向する旅路はたった一つのストーリーしか許されていない。
われわれは日本をもっと自由にできる。
そんなことを感じた。









