狭い世界、広い世界
経済シンポジウムでの議論に関していえることは、世界各国ともに実に似通った課題に直面し、都市経営や経済開発について共通の言語が使えるという面、つまりとても狭まった世界がそこにある、ということと、しかしそれだからといってうっかり自分たちの世界のままにそれを理解したつもりになっていると、とんでもない勘違いをしていることがあって、似通った問題であっても、それが生み出された背景、社会システム、文化・慣習、政治体制などはそれぞれに独自のものがあり、それを理解するにはやっぱりそれなりの苦労が伴うということ、つまり世界はまだまだ広いということ、をあわせて実感させてくれる。
アメリカには「ウォルマート神話」というのがあるそうだ。それはスーパーマーケットの巨大チェーン、ウォルマートが進出してきたまちの商店街は必ず衰退する、というもの。
それで旧市街の店並が荒廃し、価値が下がる。それを食い止めようと、いろいろな市民参加システムを構築しようとする。・・・・ここまでは日本の地方都市とまったく同じだが、それを発表したインディアナ州のニューキャッスル代表にいろいろ聞いてみると、日本では採用できないような資金システムを構築していることが分かる。
一時失業率の高進と働く意欲の喪失でまちが荒れたイギリスでは、大学と連携して職業訓練や家族支援を組み合わせ、まちの再生につなげようとしている(ニューキャッスル・アンダーライム市)。
ドイツでは企業用地を州政府が農家等から先行的に取得し、かなりうまい用地転換をしているが、新城市が行っている企業誘致策を聞いたドイツ代表は、税の軽減措置はドイツではできないとコメントしてきた(ちなみにイギリスには日本でいう地方税(市・県民税のような)の制度はないそうだ。アンダーライムの代表曰く、「税は全部国税だ。でも徴収事務は市がやる。で、文句は全部われわれに言われる」。・・・分かる、分かる・・・)
新城市の報告に対してもいろいろ質問が出されたが、「若者定住」に関する施策を質問されたのが印象的だった。それと少子高齢化による年金等社会保障制度にかかわっては、それぞれ同様の問題をかかえているもの同士、ホットな議論が飛び交った。
そのなかで南アフリカの人が、私に「年金などの財源をすべて税でまかなうという考えはないのか?」と、質問してきたので、思わず私、「あなたは日本の政治家になれる。まさにそれがいま日本の政党間での最大論争テーマなのだ」と答えたのだった。
足かけ10年、6回目の集まりで、全体はものすごくフレンドリーな雰囲気にあふれ、もちろん参加者の顔ぶれは少しずつ変わっていくのだが、ある共通の土台がすでに出来上がっている感じだ。
私も2回目の参加にすぎないのに、旧知の友に再会したかのような気持ちを抱いた。
残念なことには、この感覚は参加し、体験した者にしか理解しがたいことであり、多くの市民に同様の体験をしてもらいたいと切実に願っても、そう簡単にはいかないこと。
新城でのこの事業にかかわる論争は、ちょっと不幸な経過をたどってしまったなぁ、と思う。









