「山が笑う」という。この表現を知っているのといないのと、またそれを知ってホントにそうだなぁと実感できる環境にいるのといないのとでは、人生の「幸せ度」が違う。

 

 ――というのは私の勝手な説である。

 

 私はというと、10年ほど前に東京から旧鳳来町に移り、目にするのは山の緑ばかりという地域に住むようになって、はじめてこの言葉を知るようになった。あるとき知人と車に乗っていると、ちょうど今くらいの季節だったと思うが、「山笑うっていうけど、まさにそうだネ」と話しかけられたのが最初と記憶している。

 

 桜の季節が終わると山々は途端に新緑の季節に移る。その移り方たるや、大げさに言えば「一夜にして」というのがふさわしいだろうか。

 

 当地はスギ、ヒノキの人工林が多く、山肌は真冬も濃い緑に覆われているように見えるのだが、この時期になると、冬枯れしていた落葉樹がいっせいに芽吹きだして薄緑や黄緑に変わり、山の景色はまるで違ったものになる。それもモコモコ、モリモリと山がせり出したようになるので、本当に山という山がいっせいに笑いだしたように思われるのだ。われわれ人間もまた春を迎えて気持ちがどことなく浮き立っているので、互いに笑いあっているかのよう。あるいは山に促されて笑い出しているのかもしれない。

 

山笑う

 

この変化は山肌の立体的変貌を伴っているので、私の低性能携帯カメラ&低レベル技術ではなかなかうまく切り取ってお見せすることができない。足を運んでいただくのが何よりだが、子規に次の句があって、こちらは私の拙い紹介よりもずっと説得力がある。

 

 

 

  故郷や どちらを見ても 山笑う

 

 どこかの生命保険会社だったと思うが、「ふるさと」という言葉を聞いて何を一番に連想するかをアンケートしたところ、結果は次のようであった(と、記憶している)。

 

1位 山
2位 海
3位 母

 

 たしかこんなようであったと思う。

 あなたはどうだろうか?

 

なお、本日(5月1日)から5日までの期間、『長篠合戦のぼり祭り』が長篠城跡を中心に行われています。5日の火縄銃演武をはじめ数多くのイベントが繰り広げられます。

「笑う山」を仰ぎながら、連休のひとときをここ新城の地でお楽しみください。

『のぼり祭り』

長篠城址史跡博物館