小泉内閣、安倍内閣と続けて、道路特定財源を一般財源化する方向性が打ち出された。一方それに反対する人々も大勢いて、まだまだ道路は必要だ、それには道路特会が有効だという論と、いや道路の基盤整備はかなり進んだ、ムダな道路をつくり続けるための特定財源は廃止すべきだとの論が、激論を交わすことになった。

 

 そこで仲介の労をとる形で出てきたのが、「真に必要な道路」という概念。ムダはいけないが、必要な道はあるので、これからの財源を「真に必要な道路」に集中させようというのだ。

 

 では何が、またどこが、「真に必要な道路」なのか。さまざまな角度から検討して、向こう10年間、約59兆円をもって整備すべき道を国交省がまとめたものが、いわゆる「中期整備計画」と呼ばれるもの。

 

 この計画を立案する過程では、広く国民各層から意見を募り、数十万単位のコメントが寄せられたと聞く。専門の学識者からもだが、もちろんわれわれ自治体の長にも意見が求められた。昨年(平成19年)5月のことである。

 

 私はこの「真に必要な道路」というヤツに、どうにも抗しがたい違和感を抱いていたので、異端を承知で理念に絞った回答を送った。市長として、自分の地域にかかわる道路建設の具体的な要望や提案等は、これまでも行ってきたし、これからもいくらでもその機会はあると思ったからでもあった。

 

 この回答書は、知事、市町村長分とも国交省のHPで公表されているのだが、いま改めて報告し、「山の湊」を考える参考としてみたい。
国土交通省ホームページ(新しい画面が展開します)から、国土交通省道路局のトップページ→道路IR→道路の中期計画→知事・市町村長から頂いたご意見の順に検索しますと、すべての回答書を見ることができます)

 

  • 新城市長の回答全文(平成19年5月1日付け  国土交通省道路局長宛)
  1. 道路事業は永続的なものである。道路の開設や改良・補修にいかなる資源も投下しない社会というのは考えることはできない。どんな道づくりをするのかは、どんな国づくり・社会づくりをするのかをあらわす。そのめざすべきビジョンや戦略計画があって、そのうえでその時々の社会状況や財政状態、移動手段の変化や資源配分のバランスなどから道路事業の進捗に緩急や地域差が生じるのは当然だが、道路財源の移転のための理屈づけとして「真に必要な道路」とその他の区分けをしようという議論には、違和感を抱かざるをえない。

  2. 「すべての道はローマに通ず」が帝国時代の道路、「すべての道は東京を基点とす」が中央集権時代の道路であったとすれば、分権と大交流の時代には、「すべての道はすべてのまちに通ず」を設計の根幹思想とすべきである。

  3. 日本国憲法第3章(国民の権利及び義務)第22条は、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と定めている。これは近代市民社会の中核的原理の一つであり、国はこの権利を保障するとともに、この権利をより容易に、より高度に行使するための社会条件を整備する義務を負う。「居住、移転及び職業選択の自由」のためには、誰もが、より安価に、より短時間に、自分の望む場所に移動できることが必要である。IT時代の今日、情報のアクセスに関しては地域的、階層的格差が縮まり、よりフラット化しているのに反して、実際の人的、物的移動には経済的、地域的格差や集権的一極集中構造が不均衡を拡大している。この断絶は、社会発展の足かせとなるだろう。

  4. これからの社会構造を決定する大きな要因には、情報化、国際化、人口減が挙げられるが、これらがもたらす変化に対応するためには、より流動性(交流性)が高く、分権化され、開放的で成熟度の高い市民社会を設計することが求められる。道州制の導入も視野に入れていくとすれば、ヨーロッパ1国クラスの経済規模をもった広域ブロックが「地方政府」的自立性をもって連立し、それぞれの港湾や空港を直接玄関として国際競争力を高めながら、その圏内の人流・物流のネットワークを構築すること、および新たな国土軸によって、これらの広域ブロック間の連携・交流路を切れ目なく構築することが、急がれる。鉄道、高規格道路、幹線道路、港湾、空港の相互アクセスに支障や渋滞がないこと。

  5. 災害時をはじめ高度な危機管理体制の必要にこたえる路線網を、国および地方レベルで整備すること。

  6. 生活道路では、医療と通学の利便・安全を最優先にすえること。

  7. 山間過疎地域にあっては、生活支援および環境保全を原理とすること。

  8. 大都市圏では、公共交通機関優先へと大胆に転換すること。

  9. 観光道路では、人々の移動と交流が、より快適に、より低負担で可能になることを根幹にすること。また景観と一体化した道路とすること。

  10. 重点的な道路整備については、とくにスピード(計画から着工、開通への流れ)を重視すること。 

以上が私の回答全文でした。
明日も続けます。

 

 

鳳来桜 昨日は作手の桜に登場してもらいましたが、ここが満開を迎えるまでの間は、こちらなどどうでしょうか。国道151号線沿いの鳳来・湯谷温泉の近くです。露天風呂から桜を眺めながらの一杯など、こたえられませんね。花の命は短い。すぐにお出かけください。